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全固体電池業界の現状とカナデビア全固体電池AS-LiB®の開発状況について全固体電池は、次世代電池として注目を集め、世界中で開発が進められる中、カナデビアが開発したAS-LiB®もその一翼を担っています。 AS-LiB®は、高い安全性と広い動作温度範囲が特徴で、特に特殊環境での利用が期待されています。 本記事では、全固体電池業界の現状と、AS-LiB®の開発状況について詳しく解説します。 目次 全固体電池とは?全固体電池は、従来のリチウムイオン電池の液体の電解質部分を、固体の電解質に置き換えた次世代の蓄電デバイスです。 エネルギー密度が高く、安全性に優れ、急速充電も可能となることが期待されています。 開発状況の概況市場の拡大2040年には、全固体電池市場は数兆円規模に成長すると予測され、その高いポテンシャルから世界中で活発な研究開発が行われています。 技術開発全固体電池の技術開発は、大きく分けて以下の2つの軸で行われています。 材料開発固体電解質、正極材料、負極材料など、各材料の性能向上を目指した研究が盛んに行われています。 セル設計電池全体の構造や設計を最適化することで、性能を最大限に引き出す研究が行われています。 実用化・量産化を目指して各社開発中現在、多くの企業が全固体電池の実用化を目指して開発を進めています。 素材メーカーをはじめ、自動車メーカー、スタートアップ企業なども参入して日々開発と研究が進められています。 一部の用途や業界では、実用化が進行中固体電池は、まだすべての分野で実用化されているわけではありませんが、一部の用途や業界では、すでに実用化が進んでいます。 例えば、小型電子機器や医療機器など、高性能かつ安全な電池が求められる分野では、全固体電池の採用が進んでいます。 実用化に向けた技術的課題全固体電池は理論上、従来のリチウムイオン電池に比べて大幅な性能向上が見込まれていますが、実用化にはいくつかの課題があります。以下はその主な課題です。 製造コストの削減全固体電池の最大の課題の一つは、製造コストの高さです。 現在のリチウムイオン電池と比べて、全固体電池の製造には特殊な材料やプロセスが必要とされるため、大量生産におけるコスト削減が不可欠です。 電解質と電極の接触問題固体電解質は、従来の液体電解質とは異なり、電極との接触面での抵抗が大きくなる傾向があります。 この接触問題が、全固体電池の性能向上を妨げており、電池の効率や寿命に影響を与えることが懸念されています。 このため、電極と電解質の接触面の改良や、新しい材料の開発が重要な課題となっています。 大量生産技術の確立全固体電池は、実用化・商業化のためには大量生産技術が確立される必要があります。 これには、電池の性能を維持しながら、安定した品質を確保することが求められます。 また、現在の製造ラインを全固体電池向けに転換するには、技術的な変更や新たな設備投資が必要となります。 全固体電池AS-LiB®の開発状況についてカナデビアの全固体電池AS-Lib®️製品ラインナップ
AS-LiB®は上記のとおり、様々な容量タイプがあります。 今後は、高容量化・高エネルギー密度化に向けて、開発を進めています。 55mAh - 高温耐性/薄型厚さ2.0mmの超薄型で、130℃までご使用いただくことが可能です。株式会社八洲測器製 温度測定器「WAFER LOGGER(開発品)」に搭載されています。 140mAh - UN38.3/IEC62133/UL62133取得 実用化品140mAhセルは国連勧告輸送試験(UN38.3)に合格しており、海外に輸送可能な電池です。2022年に国際宇宙ステーション(ISS)に向けて打ち上げた全固体電池軌道上実証装置には、140mAh 15セルが搭載されていました。 1000mAh - 高容量型第12回[国際]二次電池展でリリースした電池です。当時は厚み12mmありましたが、2023年に厚み8mmまで下げることができました。 5000mAh - 第14回[国際]二次電池展参考出展第14回[国際]二次電池展で参考出展した電池です。PR動画として、子ども用電動乗用カート(電源仕様:3000mAh/6V)を稼働させました。 https://www.youtube.com/watch?v=7tM2UQiFyq4 AS-LiB®の用途展開イメージ安全性が高く、真空中や高温下などの特殊環境で使用できる特長を活かし、航空宇宙機器・産業機械・医療機器などへの用途展開を行っています。 航空・宇宙機器への使用(高低温)従来、宇宙で使用されているリチウムイオン電池は、液体を使用している点や使用温度領域が狭い点から、真空かつ温度の高低差が激しい過酷な宇宙環境では使用が困難なため、衛星等の設備内部に設置され、温度を管理しながら使用されています。 特に月面探査においては、日照時最大120℃、日陰時に-170℃という過酷な環境に長時間晒されるため、高低温でも運用可能な二次電池が期待されています(内藤 均著 『全固体電池の宇宙機への適用』巻号:54巻6号P316-320(2019年))。 全固体電池AS-LiB®は-40℃~最高130℃という広い温度範囲で動作可能であるため、AS-LiB®を用いることで、温度管理や熱管理が不要となる、もしくは簡略化できるため、宇宙環境で利用する設備の小型・軽量化や低消費電力化に寄与することが可能となります。 半導体製造装置(高低温・真空)半導体製造装置メーカー向けに、当社製全固体リチウムイオン 電池「AS-LiB®」(140mAh タイプ)を1ロット(12 個)受注しました。今後、同社からの継続的な受注が期待されます。 AS-LiB®については、これまで様々な業界からサンプル受注してきましたが、実際の 製品(装置)に組み込まれる商業ベースでの受注は今回が初となります。 参考:https://www.hitachizosen.co.jp/newsroom/news/assets/pdf/FY2023-89.pdf また、半導体製造装置向けウエハー型温度測定器「WAFER LOGGER(開発中)」は、シリコンウエハー上に直接回路を実装し、ケーブルなしで温度を計測、記録できるものとなっております。AS-LiB®を適用することにより、より過酷な環境(高温、低温、真空)での動作、測定が可能となります。 参考:八洲測器製「WAFER LOGGER(開発中)」 その他、高温になる工場設備やインフラ設備の点検用途等にもAS-LiB®が適用できる可能性があります。 医療機器(高温)電気メス等手術機器や医療器具は115℃~135℃程度の温度で滅菌が必要となるものがあります。 AS-LiB®は使用可能温度範囲が広いため、このような滅菌工程にも対応が可能です。滅菌が必要となる手術機器や医療器具にAS-LiB®を適用することで、これら機器・器具ごと滅菌工程を通すことができるようになるため、無線化が可能となり、また機器・器具の設計の自由度が高まります。 宇宙機器への適用に向けてAS-LiB®は揮発成分を最低限に抑えた電池構成を実現し、真空環境でも大きく膨張することがありません。
2022年に国際宇宙ステーション(ISS)に向けてAS-LiB®を搭載した全固体電池軌道上実証装置(Space AS-LiB)を打ち上げ、その後世界で初めて宇宙暴露環境(1.0×10-5 Pa)で全固体リチウムイオン電池の充放電が可能であることを確認するとともに、1年以上にわたる長期の充放電サイクル運用を達成することができました。 Space AS-LiBは2023年12月に宇宙から地球に帰還し、当社築港工場にて解体分析調査などを行っております。 関連記事 JAXAと日立造船との共同研究 世界初、宇宙での全固体リチウムイオン電池の充放電機能を確認 |
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カナデビア株式会社 開発本部 電池事業推進室
機械加工技術を活用した独自の製造方法によりAS-LiB®(All-Solid-state Lithium-ion Battery)を開発しました。 |
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