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全固体電池の認証と全固体電池AS-LiB®の認証取得状況


次世代電池として注目を集める全固体電池。その中でも、カナデビア株式会社が開発中のAS-LiB®は、高い安全性と性能に着目されています。

本記事では、全固体電池の認証試験の重要性と、AS-LiB®がクリアした認証試験について解説します。



目次
  1. 01全固体電池に関わる認証試験について
  2. 02全固体電池認証試験の目的と実用化への重要性
  3. 03全固体電池の認証試験一覧
  4. 04カナデビアの全固体電池AS-LiB®の認証状況について






全固体電池に関わる認証試験について



全固体電池は、従来のリチウムイオン電池に比べ、高い安全性や高エネルギー密度が期待されており、開発が進んでいます。
しかし、実用化に向けては、下記の安全基準や性能に関する様々な認証試験をクリアする必要があります。

安全性



発火や爆発のリスクを低減するため、
安全性に関する厳格な試験が求められます。

関連記事:燃えない、漏れない、安全性の高い全固体電池AS-LiB®


耐久性



温度変化、振動、衝撃など、様々な環境条件下での耐久性を評価する試験が必要です。

関連記事:全固体電池AS-LiB®の用途と事例紹介






全固体電池認証試験の目的と実用化への重要性




全固体リチウムイオン電池は従来のリチウムイオン電池よりも高い安全性や高エネルギー密度が期待されていますが、実用化には各種の認証試験をクリアすることが必要です。認証試験の目的は、電池が安全かつ安定して機能することを証明し、ビジネスにおいて安心して製品に組み込めるようにする点にあります。具体的には以下のような観点で試験が行われます。


安全性



発火や爆発のリスクを低減するため、外部短絡試験や釘刺し試験、過充電試験など厳格な安全試験が求められます。こうした試験に合格することで、異常時にも電池が重大事故を起こさないことを保証します。実際、ある全固体電池セルではCB認証やUL認証に伴う試験で発火・破裂等が一切起こらず、全項目に合格した例も報告されています。このように試験を通じて高い安全性が確認されれば、製品採用への信頼性が大きく高まります。


性能



開発目標通りのエネルギー密度や出力密度、サイクル寿命が得られているか検証する試験も重要です。例えば容量劣化を調べる長期の充放電サイクル試験や、高低温環境での動作確認などが行われ、仕様通りの性能が発揮できることを実証します。性能試験に合格することは、カタログ値どおりの能力をビジネス上保証することにつながり、ユーザーは全固体電池の実用的な価値を理解できます。


耐久性(信頼性)



温度変化、振動、衝撃など様々な環境下で長期間安定動作するかを評価する耐久試験も不可欠です。高温・低温サイクル試験や振動・落下衝撃試験によって、電池構造の強度や寿命への影響を確認します。これらに合格すれば、輸送中や使用中の過酷な条件下でも電池が信頼性を保つことが示され、製品の品質保証に直結します。


環境規制への適合



各国の環境・安全規制を満たすことも実用化には重要です。例えば、日本ではリチウムイオン電池が電気用品安全法(PSE)の対象製品とされており、安全基準への適合が義務付けられています。また国連規定のUN 38.3試験に合格しなければ電池を航空輸送できません。認証試験はこれら法規制への適合性確認でもあり、合格することにより各市場で販売・輸送するための法的ハードルをクリアできます。

以上のように、認証試験は安全性・性能・信頼性を客観的に証明し、規制面でも適合を示すものです。全固体電池が厳しい試験をパスしたという事実は、ビジネス関係者にとってその電池を製品へ採用する大きな後押しとなります。認証取得によって製品化のリスクが低減し、市場投入までのプロセスが円滑になるため、実用化の意義は非常に大きいと言えます。






全固体電池の認証試験一覧



規格種類



項目 UL規格 IEC規格 JIS規格 UN 38.3
説明 米国の安全基準規格 国際電気標準会議による規格 日本工業規格 国連による輸送に関する試験規格
適用範囲 米国内の電気製品、安全関連製品 国際的な電気・電子製品 日本国内の工業製品 リチウム電池などの危険物輸送
主な特徴 製品の安全性と性能を保証 世界各国での適用が可能 日本市場向けの製品に適用 安全な輸送を確保するための試験




セルの代表的な試験



試験カテゴリ 試験項目
電気的試験 異常充電及び過充電
強制放電
連続充電
過放電
安全性試験 外部短絡
内部短絡
圧壊
逆装てん
発射体および外部火炎
環境試験 衝突
衝撃/落下
振動
低圧
温度試験 温度サイクル
加熱




電池パックの代表的な試験




試験項目 説明
外部短絡 電池パックの外部端子を短絡させる試験。
異常充電および過充電 異常な条件での充電や過充電を行い、安全性を確認する試験。
強制放電および過放電 強制的に放電を行い、電池パックの耐性を確認する試験。
制限電力源 電池パックが提供する電力を制限する試験。
部品・表面温度 電池パックの部品や表面温度を測定する試験。
定常力 定常的な力が加わる環境での電池パックの性能を確認する試験。
成型ケース加熱 電池パックを加熱し、成型ケースの耐性を確認する試験。
落下 一定の高さから電池パックを落下させる試験。
不均衡充電 セル間の充電のバランスが崩れた場合の挙動を確認する試験。
圧壊 電池パックに圧力をかけて耐性を確認する試験。
衝撃 衝撃を与えて電池パックの耐性を確認する試験。
振動 振動環境下での電池パックの耐性を確認する試験。
連続性(接地) 接地の連続性を確認する試験。
温度サイクル 高温・低温を繰り返す環境下での電池パックの耐性を確認する試験。
外部火炎 外部火炎にさらされる際の電池パックの挙動を確認する試験。
耐圧 電池パックの耐圧性を確認する試験。
絶縁抵抗 絶縁抵抗を測定し、電池パックの安全性を確認する試験。
内部火災暴露 内部火災が発生した際の電池パックの挙動を確認する試験。
温度、熱安定システムの故障 温度や熱安定システムが故障した際の挙動を確認する試験。
浸水 電池パックを水に浸し、その耐性を確認する試験。
回転 回転させて電池パックの耐性を確認する試験。
塩水噴霧 塩水を噴霧して耐食性を確認する試験。
衝突 衝突時の電池パックの耐性を確認する試験。
壁掛け・ハンドル 壁掛けやハンドルに関する耐性を確認する試験。
ストレイン・レリーフ ストレイン・レリーフを使用して耐性を確認する試験。
プッシュバック・レリーフ プッシュバック・レリーフを使用して耐性を確認する試験。
散水暴露 電池パックを水にさらし、その耐性を確認する試験。




認証機関




項目 JET JQA TUV-Rh JP UL Japan COSMOS Corp.
名称 Japan Electrical Safety & Environment Technology Laboratories (電気安全環境研究所) Japan Quality Assurance Organization (日本品質保証機構) TUV Rheinland Japan (テュフ ラインランド ジャパン) UL Japan (ユーエル ジャパン) COSMOS Corporation
所在地 日本 日本 日本 日本 日本
主な業務 電気製品の試験・認証 製品の試験・認証、品質保証 製品の試験・認証、品質管理 製品の安全認証、試験 製品の安全認証、品質管理
認証対象 電気機器、安全機器、環境試験 様々な製品、ISO認証 電気機器、医療機器、工業製品 電気機器、医療機器、産業製品 様々な製品、ISO認証







カナデビアの全固体電池AS-LiB®の認証状況について



140mAhセルでは、CB認証のほかUL認証(UL62133)も取得済であり、UN試験も実施済です。
いずれの試験でも発火・破裂等のイベントは起こらず、合格しています。
なお、将来的には高容量タイプのセルでも安全性試験を行う予定です。

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国際安全性認証 IEC62133 規格  取得
国連勧告輸送試験 UN38.3  合格
UL62133 規格  取得


IEC62133 実施項目 (抜粋)




試験名 試験方法 判定基準
8.2.1 連続定電圧充電 充電した電池に対し、上限充電電圧及び20±5℃で充電を7日間行う。 発火、破裂又は漏液があってはならない。
8.3.1 外部短絡* 充電*した電池に対し、 短絡回路抵抗:80mΩ±20mΩ 温度環境:周囲温度 24時間経過/単電池表面の温度が最高温度から最大温度上昇幅の20%低下 のいずれか短い間放置。 発火、破裂又は漏液があってはならない。
8.3.3 自然落下 充電した電池を、高さ1.0mの地点から任意の方向でコンクリートの床に3回落下させる。最低1時間放置し、目視検査。 発火、破裂又は漏液があってはならない。
8.3.4 加熱* 充電*した電池を、恒温槽中に置き、恒温槽の温度を5℃±2℃/minの昇温速度で130℃±2℃まで上昇させ、10分間保持する。 発火、破裂又は漏液があってはならない。
8.3.5 圧壊* 充電*した電池を直ちに試験する。単電池を2枚の平板間に入れて、圧壊装置によって最大13kN±1kNの力で加圧する。試験開始時の電圧の1/3まで降下した後/最初の寸法と比較して10%の変形が起きた後/最大の圧力が加わった後、加圧力を開放する。 発火、破裂又は漏液があってはならない。
8.3.7 強制放電 放電終止電圧まで放電した電池に対し、1Cの電流で90分間逆充電を行う。 発火、破裂又は漏液があってはならない。
※ 充放電試験は、充電(CC):4.15V、0.1C / 放電(CC):2.7V、0.2C で実施しています。   *を付記した試験の充電温度は、上限:85℃ / 下限:5℃ で実施しています。





UN38.3実施項目



工程名称 試験方法 判定基準
T.1 減圧 20℃±5℃、11.6kPa、6時間以上保持 漏液、弁作動、破裂、開裂及び発火なきこと開回路電圧が試験直前の電圧の90%以上であること
T.2 温度サイクル -40℃±2℃@6h~72℃±2℃@6h/移行時間30分以内にて10サイクル+24時間放置
T.3 振動 7~200Hz 1~8gn/15分×12往復×3方向
T.4 衝撃 150gn、6ms、6方向×3回
T.5 外短 短絡回路抵抗<0.1Ω、55±2℃にて短絡 57℃に電池温度が戻ってから、1時間短絡状態で維持 試験後6時間放置 外部温度が170℃を超えないこと試験中及び試験後6時間以内に破裂、開裂、発火なきこと
T.6 圧壊 2枚の平板間に挟み込み、1.5cm/sで押しつぶす 圧壊力が13kN±0.78kNに達する/電池電圧が100mV降下する/単電池厚みが50%につぶれる のいずれかに達するまで押しつぶす 試験後6h放置する 外部温度が170℃を超えないこと  試験中及び試験後6時間以内に破裂、発火なきこと
T.8 過放電 12V電源に直列接続し、最大放電電流にて電池容量(Ah)分の時間、強制放電する  試験後7日間放置する 試験中、試験後7日以内に破裂、発火なきこと






将来のゲームチェンジャーになり得る次世代電池の大本命

全固体リチウムイオン電池は、構成するすべての材料に固体物質を使用した電池です。

当社は、機械加工技術を活用した独自の製造方法によりAS-LiB®(All-Solid-state Lithium-ion Battery)を開発しました。

この製造方法により、従来の全固体リチウムイオン電池の充放電時に必要であった機械的加圧が不要になりました。

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AS-LiB®に関するお問い合わせ AS-LiB®カタログはこちら




執筆者
カナデビア株式会社 開発本部 電池事業推進室

機械加工技術を活用した独自の製造方法によりAS-LiB®(All-Solid-state Lithium-ion Battery)を開発しました。
独自の乾式製造プロセス・製造装置の構築や、特殊環境で使用可能な電池仕様の確立に特に力を入れています。



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